マリー

 

6

学校にて、白い肌のそれを見ても心がざわつかなかったブサイ君は、とりあえず、その日をやり過ごせた。

さて、ここでカワイちゃんの登場だ。

カワイちゃんはカワイちゃんだけあって、男子からの人気がある。
そんな彼女も、ブサイくんの「イケメくんの後光によりモテてる」というトリックを見破れず、ブサイくんを好きになってしまう。
好きになってしまうだけでは飽きたらず、振り向いてもらおうとしたわけだ。

まずは、連絡先交換。
続いて適度なラインのやりとり。
「音楽、何が好きなの?」なんていう文化交流。
それを経ての「そのCD持ってたら貸して」作戦。
普段は観もしないテレビ番組を「ブサイくんが観てるから」という理由で観たり、観なかったり、録画だけしてみたり。
どうでもいい学校での愚痴やら恋事情やらを語ったり。
それを重ねて、なんとなく仲良くなってきて、お互いの距離は縮まる。
そうして、さらに月日が流れて、とある放課後!
「とある」というか、「今日」である。
今日の放課後!
ついに彼女は決心したわけだ。
先に言っておこう、告白ではない。
デートに誘ったのだ。
ブサイくんを。

 

カワイちゃんは、デートに誘うためのとっておきの理由を持っていた。
「ねぇねぇ、今日さ、暇だったら買い物いかない?ほら、イケメくんの誕生日もうすぐでしょ?何かプレゼント買いに行こうよ」
使えるモノは、惜しみ無く使うのが恋を成就させるための鉄則である。
イケメくんの誕生日などすっかり忘れていたブサイくんは、OKした。
カワイちゃんは、喜んだ。
しかしそれは、ぬか喜びでしかないのだ。
なぜなら恋は無慈悲なのだから。

 

ブサイくんの中では、カワイちゃんと誕生日プレゼントを買いに行くという目的よりも、「ついでに、昨日行ったあの本屋にもう一度行こう!!!」という目的の方が大きかったのだから。

 

 

「マリー」-6-
2013.6.13


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マリー 6
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