kotoba-asobi
フィギュアスケートの起源について考えてみました。
あれはおそらく、ワカサギ釣りの釣り堀にて発生したスポーツでしょう。
みなさんはワカサギ釣りをしたことがありますか?
私はありません。
聞いた話によるとアレって、氷に穴を開けてそこに糸を垂らすらしいですね。
そうです。
もう気付きましたでしょう。
フィギュアスケートとワカサギ釣りの切っても切り離せない関係。
分からない人はよく考えてみて下さい。
ヒントは、「なぜフィギュアスケートはあんなに回転したがるのか」というところです。
ここまで言えばもう分かりましたね?
そうです。
当初、ワカサギ釣りの穴は、人が回転して開けていたのです。
しかしながら、分厚い氷に穴を開けるのは容易いことではありません。
熟練の回転技術が必要です。
また、いくら技術が高くても、道具が悪ければ100%の力を発揮することなんて、雲をも掴むくらい難題です。
ですから、靴底に付けた金属の改良も必要でした。
技術の向上と道具の改良で、氷への穴あけは革新的な進歩を遂げました。
ワカサギ釣りの穴を開ける人達は「アナーカー」と呼ばれ、お互いの技術を見せびらかせ、切磋琢磨していました。
当時、ワカサギ釣りの釣り堀でアナーカーとして活躍していた、和香子さん(仮名)にお話を聞くことができたので、その一部を紹介します。
私「当時は、何回転くらいで穴を開けることができたんですか?」
和香子「そうねぇ、一晩回って開けばいいところかしらね」
私「え、それって、ただのバカって事でいいですか?いい意味で」
和香子「そうねぇ、回転することに命かけてましたから、そう言われても仕方のないことですね。いい意味で」
なんと、穴を開けるのに一晩もかかるということでした。
でも、和香子さん(仮名)は一週間でアナーカーのバイトを辞めたそうなので、あまり参考にはならないかもしれません。
しかしながら、技術を持ったアナーカーは一体どれくらいで穴を開けるのでしょうか。
想像すると、震えますね。
寒そうなので。
ワカサギ釣りの釣り堀って。
さて、話はまだ続きます。
というか、これからが本題です。
アナーカーの登場だけでは、フィギュアスケートまで繋がりません。
技術や道具が発達するにつれ、世の中はアナーカーたちがたくさん蔓延るアナーカーラッシュになったのです。
世にも恐ろしい、アナーカー戦国時代の始まりです。
争いには、事の発端というものがあるもの。
それを振り返ることとしまししょう。
アナーカーラッシュに突入したワカサギ釣りの釣り堀では、「そんなにアナーカーはいらないよ。人件費かさむから」という理由により、アナーカーリストラが始まりました。
アナーカーリストラは、当然、能力の無いアナーカーからリストラされるわけです。
どこで能力が問われるか。
それはもちろん、回転の技術です。
回転の技術が高ければ、穴は綺麗に開くのです。
では、一体、誰がそれを審査するというのでしょうか。
そこには、歴史を左右したキーマンがいました。
彼の名前は、佐義夫(仮名)さん。
佐義夫さんは当時、とあるワカサギ釣り堀に毎日通っていました。
働いていた訳ではありません。
愛犬のジェリー(仮名)の散歩に来ていたのです。
そして、そこら辺に落ちているワカサギをジェリーに食べさせて餌代を浮かせていたのです。
そんな彼にも話を聞くことができたので、一部をご紹介します。
私「佐義夫さんは、どんなことでアナーカーの世界に関わったんですか?」
佐義夫「あのー、あれですね、見ていたんですよ、回転する女の子たちを。男は見ませんよ、そんなの。それで、点数を付けていたんですな。回転が綺麗だとか、おっ◯いが良い具合だとか」
私「え、それって、ただのエロオヤジじゃないっすか。本当の意味で」
佐義夫「やっとらん!ワシは、何もやっおらん!本当の意味で!」
そうです。
佐義夫さんは、来る日も来る日も、アナーカーの娘たちを見ては、点数を付けていたのです。
それが、たまたま釣り堀の主人に見られてしまったのです。
主人は驚きました。
一度での回転の回数や、美しさ、それから穴を開けるのに要した時間、おっ◯ぱいの具合など、それはそれは克明に書かれていたのです。
そして、それを元にリストラを行うことに至るというわけです。
さて、リストラされるアナーカーたちはたまったものではありません。
エロオヤジが付けた点数でリストラされるなんて、ありえない!
その怒りはもっともでした。
なぜなら、アナーカーには少ないながらも男性もいたからです。
男性たちは、他の仕事でも活躍できるため、リストラに合うことはなかったのです。
アナーカーの娘たちは奮起しました。
いよいよアナーカー戦国時代の始まりです。
彼女たちは、朝も晩も氷と向き合い、回転しまくりました。
技術を競い合う戦いは激化します。
そんな最中でした。
戦局をがらりと変えたでき事が起こるのです。
それは、誰もが考えもしなかったことです。
とあるアナーカーの娘が穴を掘るのを辞めたのです。
そう言ってしまうと、簡単なことに聞こえるかもしれません。
しかし、彼女のそれは、特別なものでした。
彼女は、穴を開けることを目的とせず、回転したのです。
それは、当時、革命的な考えでした。
ただ、優雅に氷の上を滑り、回転し、たまに、ジャンプします。
さらには、ジャンプしながら回転します。
初めてそれを見た人の意見は様々でした。
嘲笑う人。
感動する人。
バカにする人。
褒め称える人。
真似しようとする人。
本当に様々でしたが、彼女はそれを耳に入れず、滑る事を辞めませんでした。
アナーカーたちが必死に穴を掘る横で、優雅に舞ったのです。
舞う。
「その表現が本当にぴったりだった。特にあの、おっぱ…グフゥ!」と、佐義夫(私のボディブローにより再起不能)さんが遠い目をして言います。
気付けば、アナーカー戦国時代は終わりを迎えていました。
物事は、それがアートや競技になった時点で、何かを終えるのです。
そして、終わりはまた始まりを意味します。
今度は綺麗に滑ることを目的とした競技として、フィギュアスケートが生まれるのです。
かつて、ワカサギ釣りの釣り堀にて活躍したアナーカーたちの汗や涙をのせて。
END
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この話は全部フィクションです。