言葉遊び

初めて「いってきます」をしたのはいつだろうか。
初めて「ただいま」をしたのはいつだろうか。
今のところずっと「いってきます」と「ただいま」ができる状態にある事に幸せを覚えた方がいいのだろか。
どうだろうか。
最後に「いってきます」をするのはいつになるだろうか。
最後に「ただいま」をするのはいつになるだろうか。
その時は多分、悲しい気持になっているんだろうな。
なんて事を考えているうちに今日もまた「行ってきます」の時がやってきて、よそ見をしていたら「ただいま」の時になっていた。
という日が五日も続けばそろそろ気付き始める。
僕ぁ、自分の人生を我が物顔で生きていたはずなのに、さっぱり自分の人生に飲まれているよ。
知らずのうちに「自分の人生」とかいう生意気な野郎が「僕」という現象を生きているんじゃないのか、なんていう複雑な勘違いを起こしそうだよ。
だけどそれが勘違いなんて保証はどこにもないんだ。
まぁ、普通に、一般的に、常識的に考えて、そんなのは、あべこべだけれど、ジョバンニもまた、こんな気持ちで朝の牛乳配達をこなして、学校に行き、夕方は活版所でバイトをしていたのだろうか。
「銀河鉄道の夜」の話になるとすぐにカムパネルラが思い浮かぶのは、良くない兆候だ。
ジョバンニこそ、「いってきます」と「ただいま」に埋もれている僕と同じなのだから。
そりゃあ、空想好きにもならないとやってられませんわ。
そうでしょう。
フィクションを生きるジョバンニでさえそうなんだから、ノンフィクションを生きる僕なんかもう、適当な言葉を並べて、それを使ってやぐらを組んで、生活に欠かせない「光熱費」といういかにも光りそうな言葉をどうにか具現化させたちょうちんを沢山ぶら下げて、「ニンバョジ」とか「ラルネパムカ」とかいう、もはや言葉にもならない適当なワードをやぐらの周りに配置OKからのミュージックスタートで踊らせる。なんていう、一人祭りをやってしまうよね。
だけど当然、「近所迷惑だ!」という熱烈な注意と「今は盆踊りの時期じゃない」という冷静な注意をされるので、その時は真摯に言うよ。
「出来心でした」って。
それでまた、心に宿る反骨精神がニヤリからの、やぐら建設。
「なんだこの毎日は!」と二分に一回はさじを投げるのだけれど、たまに、極たまに、この毎日に「やられた」と思わされる事が起こる。
僕は考えもしなかったのだけれど、ふと思い付いて調べたら、あるんだよなぁ。
夜の虹。
雨降りの夜、バスで帰っていた時に話は変わるのだけれど、ふと思ったんです。
雨が降ってたら思い出すのは、ネガティブな事が多いけれど、雨に対するポジティブさとは何だろうか。
多分、虹ですね、博士。
ところで、夜の雨も虹を作る事が出来るのかい、カムパネルラ君。
いや待てよ、虹を成すあれは太陽の仕業だ。
夜に太陽はない。
いや、待つのを待てよ、夜には月があるじゃないか。
しかし、あれは太陽の光を借りてる賃貸物件だ。
虹を作る程の力を持っていないんじゃない?
否、持っているのだ。
「条件」という力を。
その中身はさっぱり分からないけれど、科学的に定義された「条件」さえ満たせば、月にだって虹は作れるんだって。
やられたよ。
僕はそれを知った時、少し幸せな気持になってしまったんだもの。
とりあえず、ありがとうジョバンニ。
お前も頑張れよ。
明日も朝早くから新聞配達なんだから、空想もほどほどにして早く寝ろよ。
僕も早く寝て、頑張るよ。
だって、まだ「いってきます」と「ただいま」を言える場所があるから。
というわけで、国産牛とビールを買って帰ります。

夜の虹
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