恋が上手くいかないのは多々あることさ

 

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旅行に行ってる友達にラインを送ったけど、返事は返ってこなかった。
「概読」という表示は出ているのに。
まぁ、いいや。
携帯から目線を上げて、正面に座るバイトの後輩を見た。
「もう飽きましたよ」と文句を良いながらも、ミラノ風ドリアを食べてる。
私がじっと見てると、「なんすか?」と言ってきた。
「いや、飽きたって言う割にはよく食べるなぁと思って」
「そうですね、背に腹は代えられませんから」
「そうね、奢りだものね、たーんとお食べ!!そして大きくなりなさい!!」
「なるわけないでしょ、もう成長止まってますよ」
彼の冷めたツッコミに笑った。
私のテキトーな言動にいちいちツッコんでくれる人は少ないから嬉しい。
特に男には少ない。
「先輩、」
彼がミラノ風ドリアを見つめながら、話した。
「僕考えたんですけど、人は物を食べて、それを栄養にして生きるわけですよね?」
「なに急に」
「いや、僕は週の半分は先輩にミラノ風ドリアを食べさせられているわけですから、僕の体を形成しているのは、大体がミラノ風ドリアで、さらにそれは先輩のお金で買ってるわけだから、僕の体の大体は先輩の物になるわけですね。そんなことを考えたんですよ、この間」
「なにそれ、笑えるね!で、君はそれをどう思ったの?」
彼は真顔で答えた。
「吐き気がしました」
とりあえず、睨んだ。
そのあとで、彼が食べるミラノ風ドリアにタバスコを掛けまくった。
「ちょっ!え、やめてくださいよ!!」
「うるさい」
そんな感じだった。
そんな感じで、笑った。
すごく、笑った。
で、その後、私は彼に言った。
「あなた、モテないでしょ?」
だって、私が好きになるくらいだもの。

 

 

「恋が上手くいかないのは多々あることさ」-8-
2013.4.7


丸大食品  ミラノ風ドリア 「140g×4袋」

恋が上手くいかないのは多々あることさ 8