kotoba-asobi
少しだけ悪いことがしたくて、吸わないタバコを買ってみる。
でも、普段吸わないから、電車の座席に忘れてきた。
それを拾ったのはMR.シガレッツ。
彼はとてもタバコが嫌い。
世界で一番、あの煙を嫌っている。
世界で一番、あの匂いを嫌っている。
拾ったそれを捨てるのは簡単だけど、それは焼却処分されるわけだから、あの煙とあの匂いは空に撒かれてしまう。
彼は考えた。
ゆっくり、あの煙みたいに考えた。
それで言うんだ。
「今日は特別だ」って。
駅の側でタバコを吸ってる女にそれを渡した。
その女はピンクの可愛くないイヤリングをしてて、たぶん、それは僕が昔プレゼントした物だ。
僕はといえば、次に悪いことをしたくなったとき、普段使わないライターを買うつもりさ。
そしたら、それを電車の座席に忘れるだろうし、きっとMR.シガレッツが拾ってくれる。
それで言うのさ。
「今日は特別だ」って。
少しだけ
