「初の詣へ、君と参りたい」
5
メッセージの返事は意外にも早く返ってきた。
俺は正座をしながらそれを読む。
『明けましておめでとう。スーパーライトダウン、まだ買ってないというか、買う予定もないよー。』
なんていうことだ。
初詣に行く予定がないとでも言うのだろうか。
俺は返信を入力した。
「そうなんだぁ~。俺は2着も買っちゃったよ」
送信してから、俺は反省に近い感情を抱いた。
これは一体なんの茶番なんだ。
自分で撒いた種だけれど、摘み方がさっぱり分からない。
あぁ、もういっそのこと無視して欲しい。
そう思って肩を落としていると、返信が来てしまった。
『すごいね、お金持ちだね!1着ちょうだいよ ワラ』
え?
何?
そうくるの?
もう、どうしたらいいの?
とりあえず、当たり障りない感じでいくしかない!!
「あ、いいよ!サイズが合えばあげるよ!!お年玉的な!?笑」
送信した。
・・・。
自分で自分が可哀想になった。
そして、俺以外には誰もいない部屋なのに、どこからか厳しい声が聞こえてきた。
ー なんだよ、「サイズが合えば」って。
なに無駄な心配してんだよ。
意味わからねぇよ。
極寒の中、汚れきった小学校のプールにでも飛び込んで頭冷やせよ!!
「お年玉的な!?」ってのもおかしいだろ。
何様だよ。
お前からのお年玉は、人生でもらったお年玉至上最低のお年玉にカウントされるわ!!
そして極めつけの「笑」。
ちっとも笑い事じゃねーよ。
どこをどう笑えって言うんだよ。
鯖の缶詰を眺めていた方がまだ笑えるわ!! ー
非常に厳しい意見だった。
ちっとも反論できない。
それからは、しばらく待ってもメッセージの返事が返ってこなかった。
「まぁ、そうなるわなぁ」と独り言をつぶやいた。
もう、初詣には一人で行こう。
窓から差し込んだ夕陽の光を見て、そう思った。
「初の詣へ、君と参りたい」-5-
2013.1.5