「で、どうする?」的なニュアンスで終わる短いものがたり。

 

2ー2

「嘘を付け!どこの里から来た!?」
免許証が無いくらいで、交番まで連れて行かれ、訳の分からない取り調べを受けている。
僕を証明する何かは、簡単に手配できるはずなのに。
どうにかして、僕を忍者に仕立てたいんだろう。
というか、忍者としか思ってない。
「分身とかも出来ちゃうの?」
部下っぽい方が、上司っぽい方の質問の合間に、小声で聞いてくる。
死ねば良いのに。

さっき、僕の免許を持ってると思われる同僚に電話を掛けて、返すように伝えたが、まだ来ない。
くそみたいな下心のせいで、とんでもないことになった。
無意識に、小さく舌打ちをした。
「ん!?ちょっと待て、お前、アレか!!仲間を呼ぶ合図か!!」
舌打ちが聞こえたのか、上司っぽい警官が騒ぎ出す。
それにビビった部下っぽい警官は、警棒を構えて、ものすごく警戒する。
勘弁してくれ。
これは一体、何の茶番だ。

その騒ぎにピリオドを打つみたいに、交番の机の上に乗った僕の携帯が鳴った。
警戒している警官に構わず、出る。
僕の免許を奪った犯人からだ。
「ごめんなさい、これから生クリームちゃんの待つパーティーに参加しなくてはならなくなったので、その会場まで取りに来て頂いてもいいでしょうか?場所はメールで送ります!では失礼しまーす。」
電話は切れた。
マジかよ。
今、全然切るタイミングじゃなかったじゃん。
馬鹿ばっかだな。
そうなると、もしかして、このまま帰れないのか。
「どうした?」と上司っぽい警官が恐る恐る聞いてくる。
面倒だったが、事情を説明した。
すると、しばらく考えた彼は「そうかぁ、それじゃあ、いくら忍びの者と言えども、今日はもう仕方ないね。帰ってよいぞ。」
なんて言う風には言わなかった。
僕の話を聞くなり、部下っぽい方が「アジトだ!そこ、絶対アジトだ!!」と騒ぎ出す。
くたばれ。
先輩っぽい方も「忍び屋敷の家宅捜索ともなると、命懸けになりそうだ。」と奥に引っ込んで、身支度を整えだした。

I know、神様はとことん人の人生を弄ぶことに本気らしい。

 

 

「で、どうする?」的なニュアンスで終わる短いものがたり
2012.7.14


忍者図鑑

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