『ゆめこに捧げるラブソング』

 

Song No.2

ときた君とゆめこは学校帰りによく、ショッピングセンターでデートをします。
でも、そのショッピングセンターには同じ学校の生徒がたくさん遊びに来るので、ときた君は色々と恥ずかしがります。
手を繋いで歩くのも、気が気ではありません。
そのことでゆめこを傷付けていないかと、ときた君はいつもひとしきり反省をします。
そして、歌うのです。

 

今日は、一緒にソフトクリームを食べています。
フードコートのようなところで、木でできたベンチに並んで座って食べています。
ゆめこはストロベリー味。
ときた君はチョコレート味です。
「ときちゃん、私のも少しあげるから、チョコ味、ちょっとちょうだい」
ゆめこは言いました。
そして、スプーンで自分のアイスをすくったかと思うと、ときた君に向けて「はい、あ~ん」と言いました。
ときた君はスプーン片手に微笑むゆめこを見て、鼻血が出そうになりました。
でも、彼は周りを気にして食べることが出来ないでいました。
そうこうしているうちに、ゆめこの持つスプーンからポタリと溶けたアイスが垂れてしまいます。
それは、ときた君の制服のズボンに落ちました。
「あ、ごめん!ときちゃん、私が余計なことしたから・・・」
ゆめこは、ときた君の制服のズボンをハンカチで拭きながら言いました。
伏せた目からは、悲しさだけが滲んでいます。
それを見たときた君は、美術の教科書に載っていた「ミロのヴィーナス」が醸し出す哀愁を感じました。
そして、ひとしきり反省しました。
ときた君は、ズボンを拭いているゆめこの手をギュッと握って、それを止めさせます。
それから、おもむろに、背負っているギターを構えました。
「ゆめこ!!俺、歌うよ!!素直な気持ち、歌わせてくれよ!!!」
ときた君は、そこら中に同じ学校の生徒がいるフードコートで人目も憚らず歌います。
「聴いてください。ゆめこに捧げるラブソング」

 

ー『溶けやすいそれを、僕はキャンディーか何かだと思っていたんだ』ー
詞 消しゴム
曲 消しゴム
(消しゴムはときた君のアーティスト名です。)

僕はストロベリーが嫌いなんだ~♪
そんなことは~♪
君には言えないよ~♪
だって~♪
嘘だもの~♪
本当は好きさ~♪
ストロゥ the ベリー!!

アイスをすくうあの銀色の~♪
丸い機械仕掛けのヤツ~♪
あれが欲しくなった時があるだろ~♪
僕はまだその気持ちのままさ~♪
つまり君のことを~♪♪♪


こんなにも溶けやすい~♪
僕の気持ちを~♪
僕はまるでキャンディーか~♪
何かだと思っていたんだ~♪

でも違っていた~♪
君の体温で溶けたアイス~♪
それはもう僕の気持ちではなくて~♪
キャンディーか何かだ!!!

※くりかえし

 

ときた君は歌い終えました。
ゆめこは奇跡的に感動しすぎて、持っていたアイスを落としてしまいます。
「・・・ときちゃん」
「・・・ゆめこ」
二人は抱き合いました。

クリスマスは、もうすぐそこまできています。

 

 

『ゆめこに捧げるラブソング』
Song No.2   2012.12. 20


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ゆめこに捧げるラブソング2