『ゆめこに捧げるラブソング』

 

Song No.6

冬は恋人同士のイベントが盛りだくさんです。
ときた君の通う高校もその話題で持ちきりです。
クリスマス、冬休み、年越し、初詣、2月のバレンタイン、3月のホワイトデー。
その中でも特に、もうすぐやってくるクリスマスや初詣の話題で盛り上がります。
「ときたは、ゆめちゃんと初詣とか行くの?」
そう友達に聞かれたときた君は「分からねぇ、あんまり話してねぇし。向こうが行きたかったら行くかな」と言いました。
本当は、ときた君、行きたくて仕方がありません。
でも、恥ずかしいので素直な気持ちが言えないのです。
そのとき、ときた君は、ふとゆめこのことを考えてとても反省しました。
ひとしきり反省したあと、ときた君は背中に背負っているギターを取り出して、歌います。
ゆめこに向かって歌うのです。

 

ときた君は、ゆめこと初めて過ごすクリスマスイブについて、考えを巡らせていました。
あまりお金もありませんから、高価なプレゼントを用意することもできません。
だからと言って、諦めるわけにはいきません。
ゆめこには喜んで欲しいのです。
ドッキリなプレゼントを用意できるほど、ときた君は器用ではないので、直接ゆめこに聞きました。
「ゆめこ、何か欲しいものある?」
「欲しいもの?うーん。ときちゃんがプレゼントしてくれるものなら何でも欲しいものになるよ!」
「じゃあ、100均でノートを買ってやるよ」
「うん。それでも嬉しいよ」
「言ったな?」
ときた君は、一度言った意地悪で自分の首を絞めることになります。

24日のクリスマスイブ。
ゆめこと、ときた君はデートをしたあと、ゆめこの家の前で別れ際にプレゼントを交換しました。
ゆめこは、ときた君にギターのピックをあげました。
「ときちゃんがどんなの使ってるか分からなかったから、色々買っちゃった」
ゆめこは、恥ずかしそうに言いました。
ときた君はピックをもらって、愕然としました。
とても、嬉しかったからです。
それに比べときた君は、本当に100均のノートを買って、ゆめこにプレゼントしようとしていたのです。
でも「こんなんで、ゆめこが嬉しいはずがない!」と思い、ひとしきり反省をしました。
ときた君は勢いよく背負っているギターを構えました。
「ゆめこ!!俺、歌うよ!!素直な気持ち、歌うよ!!!」
ときた君は、閑静な住宅街のクリスマスイブに思いっきり歌声を響かせました。
「聴いてください。ゆめこに捧げるラブソング」

 

ー『100均のノートで世界が救えるなら、警察はいらない』ー
詞 消しゴム
曲 消しゴム
(消しゴムはときた君のアーティスト名です)

あ~ そんな風に♪
あ~ 僕を見ないで♪
あ~ 僕は髪の毛も短いし♪
あ~ 僕は日本人さ♪
そうさ~♪
言いにくいけど~♪
僕はイエス様ではない~♪

どうか僕の前で泣かないでおくれ~♪
どうか僕の前で微笑んでいてくれ~♪
どうか僕の前でその素敵な八重歯を見せて~♪
どうか僕の前で十字を切るのは止めて~♪
サディスティック・ホリデイ!!!


目の前には君がいるけど~♪
もう本当にチキンのことしか頭に無い~♪
自転車で急いで買いに行ったとして~♪
警察にスピード違反で捕まったら~♪
僕は迷わず・・・♪

目の前では君が微笑む~♪
だけど もう本当にシャンメリーのことしか頭に無い~♪
自転車で急いで買いに行ったとして~♪
警察にスピード違反で捕まったら~♪
僕は迷わず~♪
僕は迷わず~♪
僕は迷わず~♪
100均のノートを差し出すよ~♪

ゆめこと言う名の~♪
100均のノート~♪
ラヴュ~♪

※くりかえし

 

ときた君は歌い終えました。
ゆめこは奇跡的に感動しています。
「・・・ときちゃん」
「・・・ゆめこ」
二人は抱き合いました。

クリスマスは、いよいよもうすぐそこまできています。

 

 

『ゆめこに捧げるラブソング』
Song No.6   2012.12.24


ツバメノート A5ノート3冊パック 7mm×24行 30枚 H30S-3P

ゆめこに捧げるラブソング6