「基本的にヒーローは暇である」

 

10ヒマ

機内食を食べ終えた。
赤色レッドはビールを飲み続けている。
益々笑いが堪えられない。
きっと、敵は俺たちがNipponにいないことに気付いてるだろう。
でもまだ月曜。
「一大事だけど、まだ月曜日だから日曜日には戻ってくるでしょ。それよりも今はMt.FUJIの標高が知りたくて堪らないんだよ。」とでも言っているだろう。
しかし、奴等は侮れない。
なんと言っても情報収集には長けている。
俺たちがHawaii行きのチケットを手に入れたことも、すぐに分かったに違いない。
そこで、見張りの一人でも付けるだろう。
ふふふ。
甘い、甘いぞ。
その敵が乗るHawaii行きの飛行機に、俺たちはいない!!
なぜなら、搭乗直前にヒーローの権限を最大限に使って、Guam行きの飛行機に変更をしたのだから!!
赤色レッドはにんまりと笑いながら、CAに新たなビールを頼んだ。

 

桃色ピンクは左隣に座る緑色グリーンを見た。
機内食を食べ終わった緑色グリーンは、窓の外を見ていた。
桃色ピンクは3つ並ぶ座席の真ん中には座りたくなかった。
しかし、緑色グリーンが「窓から外が見たいなぁ」と子どものように言ったから、窓際を譲った。
右隣に座る青色ブルーは、コスプレ写真の打ち合わせを迫ってくる。
日曜日の青色ブルーは好きだけれど、OFFの日のアイドルオタクと化した彼は好きじゃない。
でも、窓の外を見て「綺麗だなぁ」と子どものように笑う緑色グリーンを見ると、とても癒された。

 

敵の下っ端は、蕎麦を堪能していた。
「蕎麦のおかげで、少し気持ちが落ち着いてきた」と独り言を漏らすほどだ。
摘まんだ蕎麦を天高く上げたとき、隣の席の人が戻ってきた。
「やべぇ!!」
下っ端は瞬時に思った。
「あれ!?何で蕎麦を食っているの?」と聞かれたらどーしよう。
機内食で蕎麦は出ない。
もし蕎麦を見て騒いだら、勇気を振り絞って殺すしかない。
でも、隣の席に座る人は言った。
「あれ!?蕎麦ですか!奇遇ですね。僕も蕎麦を食べたんですよ。内緒で持ち込んでね。テヘヘ」
え?と思って顔を挙げると、黄色イエローだった。
「えぇーーー!?」
下っ端はオーバーリアクションを取らざるを得なかった。

 

 

「基本的にヒーローは暇である」
-10ヒマ-  2013.1.16


コスレンジャー 悪役

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