「ロール」

 

ロール15

朝早く起きます。
でも、コンビニじゃないお仕事です。
朝はもうコンビニでは働きません。
コンビニではポニーテールにしていた髪の毛は、結わかずにそのままにします。
出掛ける支度をしながら思います。
遅刻さんは今日も遅刻なのでしょうか。
というか、彼は私が朝働かなくなったことを知りません。
伝えるのもなんだかなぁと感じでしたので。
でも、まぁ、そのうちカンロさんが言ってくれると思うので伝わると思います。
心残りなのは、彼のメイゲンが聞けなくなってしまうことです。
そう思って、私はちらりとハンドバッグを見ます。
そこにはメイゲンノートが入れてあります。
なんだかめげそうになったときはあれを見て元気を出すのです。
あ、電話が鳴りました。
私はそれに出ます。
「おはようございます」
その日のスケジュールの変更があったようです。
朝のお仕事のあとに撮影が入ったみたいです。
私はその場所を聞いて驚きました。
なんと、近所の公園だったのです。
まさか地元で仕事をするとは思っていませんでした。
でも断る理由はありません。
頑張ります。

 

出掛ける準備を済ませると、ハンドバッグからメイゲンノートを取り出してぱらぱらと捲ります。
新しいメイゲンが聞けなくなった今、私はランダムで目に留まったメイゲンをその日の言葉にして出掛けるようになりました。
そして、今日は、これでした。
『それはたちまちだ。君はたちまち君じゃない人になれる』

 

 

「ロール」-15-
2013.12.3

ロール 15
Tagged on: