『残暑よ、何処へ。』

 

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ハローこんにちは。
こちら残暑です。
今、海にいます。
夏は終わりを迎えたそうです。
あまり仲の良くない友人に「そろそろあなたの出番ではないのか?」と言われた私です。
そうは言われましても、本当に夏は終わりを迎えたのでしょうか?
それを確かめるべく、今海にいます。
あぁ、確かに、あの頃の暑さは見当たらないのです。
あまり仲の良くない友人の言う通りでした。
こうなると、私の出番かも知れません。
だけど、暑さを長引かせるというのもどうでしょうかと、私は常々思うのです。
真夏の時期を過ぎてしまえば、「まだこの暑さが続くのか」と暑さに対するブーイングが非常に多いのです。
あまりにも多いブーイングに耐えかねて、私はこの時期、ケータイ電話を押し入れの奥底に沈めてしまいます。
充電もしないので、電池も切れていることでしょう。

とにかく、私が活躍する時期など来ない方がいいのです。
なので、私は様子を伺っているのです。
夏がまだ続いていることを祈って、様子を伺うことにしたのです。
まずは、海から。

海水浴をしている人は少ないです。
それもそうでしょう。
浜辺からも見えるのです。
あの姿が。
ユラユラと海水を漂うクラゲたちです。
私は彼らのそのユラユラをじっくりと見ました。
そして、思うのです。
ふむ、あのユラユラ具合、夏は終わりを迎えたのかもしれない。

とは言え、私はできるだけ出番を先送りにしたいのです。
そこで考えたのです。
夏が終わったのは、もしや、海だけなのではないかと。
ええ、そうに違いないでしょう。
私はユラユラと漂うクラゲたちに、さよならをすると八幡さまへと向かいました。
この町にある神社です。
小さい林に囲まれた境内の回りではセミがミンミンと鳴いて、子供たちが水鉄砲ではしゃいることでしょう。
想像するだけで、かき氷が食べたくなります。
そして、それは即ち、夏が終わっていないことの証明なのです!
私は鼻唄混じりに意気揚々と歩きました。
だけど、突然の夕立が私の歩を阻みました。
近くの駄菓子屋さんまで走ると、雨宿りついでに、サイダーを飲みます。
「雨、止まないなぁ」などと思っているときにチロリロンと、風鈴の音がしたのです。
もしや!と思い視線を上げれば、駄菓子屋さんの入り口の端に風鈴がぶら下がっているのです!
そして、ふと思ったのです。
これは!
これは、まさに夏の光景ではないですか!
突然の夕立。
雨宿り。
サイダー。
風鈴の音色。
ええ、そうですとも。
これはもう、夏の事象です!
ともすれば、まだまだ私の出番ではないのです。
私はすっかり肩の荷が降りたので、今日のところは帰って、八幡さまへは明日行くことにしました。
だって、まだ夏は終わりを迎えていないのですから。

 

 

つづく

『残暑よ、何処へ。』-2-
2014.9.27


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残暑よ、何処へ。 2