「基本的にヒーローは暇である」

 

4ヒマ

「おおっ!!いいっ!」
おやっさん局長は基地に居た。
一人だ。
日曜以外は、基地も閑散としている。
モニターの明かりだけが基地内を照らした。
おやっさん局長はそのモニターに噛じりついている。
「あぁ!ここっ!いいねぇ、このアングル!」
おやっさん局長が唸る。
時々、ビールを口に運んでいる。
おつまみは、さきいかのような乾物だ。
「素晴らしい!!」
一際大きい声が響く。
おやっさん局長が観ているのは、ヒーローの戦闘を録画したものだ。とは言っても、基本的に桃色ピンクしか映っていない。
「ここだっ!」
そう言ったおやっさん局長は、リモコンを掴んだ。
映像を一時停止させた。
止まった桃色ピンクの映像を観ながら、ビールを一口飲んでニヤけている。

 

おやっさん局長は日曜日以外の6日間、桃色ピンクのことをよこしまな気持ちで見ている。
桃色ピンクが戦っている時の、際どい映像を観て楽しむのがおやっさん局長の趣味だ。
だけど、地球を守りたい気持ちは緑色グリーンよりも爆発寸前だ。
地球を守るためなら、今まで録り貯めた桃色ピンクの戦闘シーンを全て焼いても良いと思っている。
というか、いつかは焼かなければならない。
でなければ、緑色グリーンに妬かれてしまう。
なんていうおやっさんギャグもかましてしまう。
それくらい地球に対する愛は本物だ。

でも、今日は日曜日ではない。
敵は来ない。
地球を守るよりもやることがある。
戦っている桃色ピンクは、たまらない。
「いいわぁ!」
おやっさん局長は唸った。
それから、5本目のビールを開けるのであった。

 

 

「基本的にヒーローは暇である」
-4ヒマ-  2013.1.10


コスレンジャー 緑

基本的にヒーローは暇である4