「生まれて8年目」

 

7月2日 曇り

今日の給食は揚げパンだった。
ボクは揚げパンが好きだ。
でも、嫌いな人もいるから、余りが出る。
余ったものは、欲しい人がもらっていいのだけど、欲しい人がたくさんいるとジャンケンをしなくちゃならない。
今日もそうなった。
余った揚げパンは一つ。
育ち盛りのボクとしては、なんとしても食べたい。

「揚げパン一つあまってるけど、食べたい人ー」と先生が言う。
ボクは一番乗りで手を挙げた。
「よし、ボクのだ!」と思ったのに、そのあとに手を挙げた人がいた。
ボクはそいつの「はーい!」という声を聞いてうんざりした。
ボクのライバルだ。
何かと言うと、突っかかってくる。
お母さんは「あなたに憧れているのよ」と言うけれど、ボクはそいつの事が嫌いだ。
この日記に名前を書くと、何かの証拠になっちゃうかもしれないから、アダ名で呼ぶことにしよう。
何がいいかな?
そうだ。
ボクが嫌いな「ペペロンチーノ」にしよう!
変な名前だからちょうど良い。

 

ペペロンチーノは、ボクが給食のお代わりをしようとすると、いつもやってくる。
この間も、スープのお代わりをしていたら、ペペロンチーノがやって来て、スープをお代わりした。
ボクが三杯目スープをお代わりすると、ペペロンチーノもお代わりをした。
最後には、スープのお代わり合戦になったけれど、育ち盛りのボクはたくさん食べた。
ペペロンチーノは途中で食べれなくなったみたいで、給食が終わって昼休みになっても食べ続けていた。
お代わりをした人は残しちゃいけないからだ。
ボクは、ペペロンチーノのところへ行って、「お前、育ち盛りじゃないのか?食べてやろうか?」と言ったけれど「うるせー、うんこ!」と言われたから、ボクは「そうか」と言って校庭に遊びに行った。

 

揚げパンジャンケンはボクが負けた。
ペペロンチーノは嬉しそうに揚げパンを持っていったけれど、また食べきれなくて昼休みになっても食べ続けていた。
腹ペコのボクは「食べてやるよ!」と言ったけれど、「うるせー、うんこ!」と言うので、「そうか」と言って校庭に遊びに行った。
校庭では、ボクの大好きな忍者ごっこをして遊んで楽しかった。

 

今、ペペロンチーノは長いから、ペペロンにすることをチュリオさんと相談して決めました。

 

 

「生まれて8年目」-2-
2013.7.2




生まれて8年目 2
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