「生まれて8年目」
7月4日 晴れ 夕方雨
今日は、体育の時間に鉄棒をした。
ボクは鉄棒の事が嫌いではない。
嫌いではないけれど、逆上がりはできない。
何度やってもできない。
でも、諦めてはいない。
だって、忍者になるには逆上がりくらいほいほいとやってのけないとダメだと思うからだ。
お母さんが「千里の道も逆上がりからね」というので、一生懸命頑張りたいと思う。
それにしても、綺麗に逆上がりをする友達もいる。
特に、‥そうだな。
なんて言う名前にしようか。
女子なんだけれど。
そうだ!
カルボナーラさんにしよう。
スパゲティの中では、カルボナーラが一番おいしいから。
カルボナーラさんは、とても綺麗に逆上がりをする。
というか、まず、カルボナーラさんが綺麗だ。
可愛い。
ボクは、
ボクは、カルボナーラさんが好きだ。
恥ずかしい。
ボクは今、とても恥ずかしい。
でも、お父さんが「日記は自分と向き合うためのものだ。全て正直に書けば書くほど良い日記になり、その分、素晴らしい中堅少年になれる」と言っていた。
だから、正直に書いた。
でも、誰かに見られるわけじゃないからいいよね?
だけど、恥ずかしい。
自分の正直な気持ちと向き合うのは、こんなに恥ずかしいことなのか。
知らなかった。
でも、これで少し中堅少年に近づいたに違いない。
ということは、忍者にも近づいただろう。
ボクはカルボナーラさんが好きだけれど、あまり話したことがない。
教室の席が遠いからだと思う。
だから早く席替えをして欲しいのだけれど、夏休みが終わってからするみたいだから、諦めるしかない。
夏休みは始まってもいないんだから。
とにかく、早く逆上がりをできるようにならなければ。
カルボナーラさんに格好良いところを見せないといけない。
今週の日曜日、お父さんに会うときに特訓をしてもらおう!
そういえば、今日の朝、お母さんに「あなた、昨日、夜に忍術の練習をしていたでしょう!早く寝ないとダメでしょう!」と言われた。
確かに、チュリオさんと練習したけれど、ものすごく静かにしたはずなのに、何でバレたのだろうか。
忍者ならば、もっとバレないように頑張らなければ!
でも、今日は早く寝よう。
「生まれて8年目」-4-
2013.7.11