「基本的にヒーローは暇である」

 

1ヒマ

赤色レッドはパチンコを打っている。
喰わえタバコをして、目は虚ろ。
台に立て掛けてある携帯が光った。
目だけ動かした。
ケータイのディスプレイを見る。
黄色イエローの名前が表示されている。
目線をパチンコ台に戻す。
5分くらい過ぎる。
やっと携帯を手に取る。
メールだった。
「そば食いに行こ」

 

赤色レッドは、パチンコ店を出た。
余った玉は誰かにあげてきた。
何の意味もないから。
商店街をふらふら歩く。
やはり目は虚ろ。

いつものそば屋に入る。
すでに黄色イエローがいた。
3杯目のかけそばを頼むところだという。
赤色レッドもかけそばを頼んだ。
「赤色レッド、目、やばいよ! やっぱり水曜あたりが一番だれるね。」
黄色イエローが笑いながら話しかけてきた。
「ぁぅん」
赤色レッドは返事にならないような返事をした。
「あいつらも、週1じゃなくて週3くらいで攻めてくればいいのにね」
「ぅぁん」
赤色レッドはまた返事にならないような返事をした。
黄色イエローが言う「あいつら」とはもちろん敵の事だ。
敵は地球侵略を目論むわりに、毎週日曜日にしか攻めてこない。
それ以外の6日間、ヒーローたちはフリーだ。
ヒーローだって人間だから、6日も休みがあれば、ダラけざるを得ない。
「命懸けで地球を守る!!」という熱い思いは、日曜日に置いてきてしまっているのだ。

 

「く、食い逃げだ!!」
そば屋の店員が騒いだ。
ドアの方を見ると、男が走って出ていった。
赤色レッドはかけそばをすすった。
黄色イエローは4杯目のかけそばを頼んだ。
店員が彼らに向かって言った。
「あ、あんたたち、正義の味方だろ!なんとかしてくれよ!!」
赤色レッドは箸を置いた。
ダルそうに携帯を取り出す。
電話を掛けた。
そして、虚ろな声で言うのだった。
「ぁ、ケーサツ?・・・商店街のそば屋で食い逃げ」
それだけ言うと携帯を置いて、替わりに箸を持った。
またそばをすすった。
黄色イエローは別の店員が運んで来た4杯目のかけそばを見て「旨そう!」とはしゃいだ。

 

 

「基本的にヒーローは暇である」
-1ヒマ-  2013.1.7


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