「基本的にヒーローは暇である」

 

7ヒマ

その日の夜。
つまり月曜日の夜には、おやっさん局長率いるヒーローたちは空港にいた。
色々と準備をしたかった青色ブルーに、赤色レッドは「現地調達すりゃ良いだろ。パスポートだけ持ってこい」と言い放った。
神経質な青色ブルーだけれど、リーダー格には従うのだった。
でも、歯ブラシだけは持参した。

 

搭乗までの待ち時間、桃色ピンクはHawaiiの本を買った。
緑色グリーンと楽しそうに本を眺める。
行きたいお店などをピックアップしている。
緑色グリーンは「パンケーキ!!」と言って、はしゃいでいる。

 

黄色イエローはターミナルの蕎麦屋にて箸で摘まんだそれを、今まさにめんつゆに浸ける瞬間だった。
「やばいなぁ。空港の蕎麦も旨いなぁ」
独りで呟きながら、3枚目のざるそばを頼んだ。

 

青色ブルーはネットを使って、常夏のアイドルを探していた。
なかなか見つからない。
どうしたら良いのか、険しい顔で悩む。
彼は賢い。
思い付く。
「そうか。桃色ピンクをアイドルに仕立て上げればいいんだ」
青色ブルーは、一瞬だけニヤリとした。

 

緑色グリーンと桃色ピンクが座る椅子の対面には、おやっさん局長が腰かけている。
Hawaiiの本を覗き込む桃色ピンクの胸元を覗くためだ。
そして、「旅の思い出」と称して右手に構えたハンディーカムに映るのは、やはり桃色ピンクばかりだ。

 

そんな中、赤色レッドは空港の受付デスクにいた。
何やら企んでいるようだ。
「俺達はヒーローなんだ。緊急なんだ。頼むよ」
そう言って、係員を困らせている。
普段よりも虚ろではないのは、企みがあるからだ。

 

敵はヒーロー達の謎の行動に、ようやく気付いたようだ。
Mt.FUJIの標高を議論している会議室に、下っ端が駆け込んできた。
「大変ッス!赤色レッドがいつものパチ屋にいません!それから、黄色イエローも蕎麦屋にいませんし、桃色ピンクと緑色グリーンの姿も見えません!現在、秋葉原に青色ブルーがいるか確認中です!」
それを聞いた偉い敵は言い放った。
「一大事だけど、まだ月曜日だから日曜日には戻ってくるでしょ。それよりも今はMt.FUJIの標高が知りたくて堪らないんだよ。」
下っ端は、立ち尽くした。
「敵の平和ボケ」と言う言葉が、ヒーロー史に刻まれた決定的な瞬間だ。

 

 

「基本的にヒーローは暇である」
-7ヒマ-  2013.1.13


コスレンジャー 悪役

基本的にヒーローは暇である7