マリー
3
さて、いよいよ、話は先に進む。
心して読んでもらいたい。
なぜならこれは、一人の男の恋の話なのだから。
その日の放課後、バイトの無かったブサイくんはイケメくんとショッピングセンターに出掛けた。
そこで彼らはやはり、心底下らない話をしながらぶらぶらと歩いた。
そらから二人は、別に甘いものが食べたい気分ではなかったが、「なんだかモテそうだから」というなんの根拠もない考えに基づき、アイスクリームを食べた。
アイスクリームを食べる。
アイスクリームを食べる。
心底下らない話をする。
アイスクリームを食べる。
ラインの返信を打つ。
女子を見る。
アイスクリームを食べる。
女子を見る。
心底下らない話をする。
女子を見る。
女子を見る。
アイスクリームを食べる。
女子を見る。
女子を見る。
女子を見る。
女子を見る。
女子について話す。
アイスクリームを食べ終わったあと、イケメくんが「ちょっと買いたい漫画あるんだけど、買っていい?」と言った。
ブサイくんは了解した。
本屋に入ると、イケメくんとは別の棚を見るブサイくん。
ブサイくんはあまり漫画本を買わないし、小説も読まない。
だから、この時間は退屈だった。
でも、割りとすぐにイケメくんがやって来て、「じゃあ、買ってくるわ」と言った。
ブサイくんはなんとなくそれに続き、レジまで歩く。
レジには何人かが並んでいる。
そこに、見つけた。
ブサイくんは見つけた。
見つけたそれに、何でそんなに目を奪われるのかさっぱり分からなかった。
いつも見ているではないか。
そう思うのだが、目が離せなかった。
その、白い肌。
つやつやの白い‥‥。
その時、「やぁ」と言うイケメくんの声が聞こえた。
そこにいたキレイさんに声を掛けたのだ。
「マリー」-3-
2013.6.10